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包絡分析法(DEA)の利用

公共事業の優先順位決定は、一筋縄ではいかない大問題!
 対象の保有するリスクは? 対象の社会的重要性は?
 事業にかかるコストは? 仮にリスクが発現した場合の損失は?

全ての要素を総合的かつ公平に判断しなくてはなりません。
しかも、決定結果については「説明責任」が求められます。

包絡分析法(DEA)を使えば・・・

多様な要因を総合的かつ公平に評価する上で有効な方法として、包絡分析法(DEA)が知られています。

  • それぞれのデータの“個性”や“特有の事情”を反映した評価が可能です。
  • 評価の客観性・再現性に優れており、高い次元で説明責任を果たすことが可能です。

防災事業を例にとると・・・

災害発生の危険性を重視すれば、優先すべき地点

保全対象の状況を重視すれば、優先すべき地点

リスク発現の可能性が高い地点も、社会的重要性の高い地点も、DEAを使えば公平・客観的な評価から、両地点ともに高い順位にランクされます。いろいろな“事情”、“視点”を踏まえたランク付けが可能となります。
DEAとは?(論文リンク)

例えば、道路防災点検結果に基づく対策事業の優先順位の検討例

道路沿い斜面の災害による通行止めや人身被害は毎年のように発生しています。そのような危険性を有する個所を特定し、対策を講じるための調査として、道路防災点検が行われてきました。ここでは、その道路防災点検の結果を基に、防災対策優先順位の検討を行っています。

県下で実施された道路防災総点検結果から「要対策」と判断された箇所が614箇所。
そのうち既に対策済みとなっている箇所を除いた、276箇所を対象に今後の事業優先度を考えます。

どこから対策していくべきか?優先順位の検討

  • 評価指標は以下の6要因
  • 斜面の災害危険度(安定度調査票の評点)
  • 交通量(H22交通センサスデータ)
  • 孤立集落の有無(右図イメージを抽出)
  • 影響人口(沿線の旧市町村人口)
  • 緊急輸送路道路区分(県の指定状況より)
  • 防災拠点となる重要施設の有無

孤立集落のイメージ

孤立集落のイメージ
道路の一端が行止まりで、その手前に危険個所がある。
災害発生時には道路の交通が阻害され、連絡が途絶する恐れのある集落 (緊急車両の通行不能など)

300箇所の斜面について、これらの指標データを整理し、分析用のデータセットを作成
指標データ
このデータセットについてDEAで分析!
「同率1位を作らない」超CCRモデルを用いることで、トップから最下位まで厳密な順位を設定します。
※例は一部のみ抜粋

算出された順位は・・・

DEAによる算出順位
1位は危険度が高く、交通量が多く、影響人口が多く、一次緊急輸送路に指定されている箇所
2位は危険度・影響人口はまずまず、二次緊急輸送路指定だが交通量多く防災拠点有
3位は危険度が高く、影響人口が大きい箇所、など
※トップ10のみを表示

各地点の特徴(抱えた事情)が考慮された順位の設定が実現

順位算出結果はGISで閲覧できるデータとして整理!
GISによる順位算出結果

各データの「事情」を加味した条件で、相対比較

算出される優先順位は各データにとって最も有利となる条件下で相対比較した結果です。 多様なデータを公平に評価できる上、優先されないデータについても説明がしやすくなります。
包絡分析法(DEA)は、数理的解析を用いて優先度を判定するため、客観性・再現性共に高い手法で、アセットマネジメント、 防災事業、都市整備事業、民間の企業活動など広い汎用性を持っており、ニーズに応じた分析が可能です

優先順位で悩んだら、DEAの活用をご検討下さい!

実績

長崎県 砂防施設整備事業優先順位検討
山口県 土砂災害防止法区域設定優先順位検討
北海道 道路斜面整備事業優先順位検討
国土交通省 樋門・樋管維持管理計画検討業務
国土交通省 砂防施設整備優先順位検討
佐賀県 道路防災点検結果による事業優先度評価業務
福岡県 所管事業の円滑化に資する委託業務

※実績は一部のみ抜粋

新技術情報提供システムNETISに登録済み:CG-060015-A